ワタリガラせば。

なにもない。いや、雪原(知床五湖の湖面)と森がある。

そこには初夏の新緑とカモが憩う湖の風景、その前の季節がある。

真っ白な雲と雪に包まれた、その先には知床連山がある。

なにもない。いや、流氷を撫でて僕らの頬を悴ます風がある。

そこには真夏の太陽に青い海をゆく船、その前の季節がある。

どこまでも水平線まで続く先に、見えなくとも感じる世界がある。

思うがままに詠うかのような声、一羽のワタリガラスがいました。

カラスはカラス、フレペの滝の展望地にいた誰にも見向きもされず

そんな事など全く気にするわけもなく、流氷の上で鳴いていました。

上空を舞うオジロワシやオオワシにむけられた沢山のカメラ、

なにもない、なんでもない、なんだカラスか...の一瞬の視線の横で

ワタリガラスの神話を思いだしながら、一人で嬉しく眺めていました。

そこには、知って、想いうかべたり、考えることで、

見えなくても感じる世界があるのだと、大切な世界があるのだと、思います。


今日も対岸の断崖の斜面には多くのエゾシカが集まっていました。

その断崖の下には滑落したエゾシカの死骸。そこに集まるワシやカラスでした。




***** 自然ガイド 知床ころぽっくる *****

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つよし