物陰からストーカーの視線

舌をぺろぺろ、枯れたハンゴンソウの陰から、木々の影から...じ~~~っと

メスジカを見つめているのは、、繁殖期をむかえた晩秋のオスジカたち。

そして、じりじりとにじり寄ったり、時に全力で草原を疾走しながら、

群れたメスたちを執拗に追かけまわす行動も10月下旬~11月に見かけます。

たしかに彼らは一夫多妻型のハーレムを形成することでも有名ですが、

実際のところは、そうした群れになる為にはメスジカが逃げないで

1頭のオスの周囲に留まってくれることが形成されるのに必要に見えます。

本当に身体も角も大きなオスなら別なのかもしれませんが、ほとんどは...

何度も何度も逃げられては追ってを繰り返してアタックをしています。

メスはメスで逃げることに懸命で、そんな悲哀の光景も、この季節ですね。

雪をまとった羅臼岳の雄姿。森の奥から聞こえてくる甲高い鳴き声。

「フィー!ヨーー!ヨーーー!」とか「ブヒョーーーーッ!...」という。

・・・文字で表現するのが難しいですが、人によって女性の悲鳴のようとも。

これは、ラッティングコールという繁殖期特有のオスジカの鳴き声です。


流れる滝、波の音もします。今日もすっかり晴れわたって青い空と海。

夕方に近づくにしたがって差す陽も淡い印象へと変わっていき、

そうした頃に草原や森には”哀しきストーカー”が、あちこちに現れます。

そんなに悪い奴らではないので、遠くから優しい目で見守って下さいね。




***** 自然ガイド 知床ころぽっくる *****

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つよし