足の曲がった鹿。

スノーシューで森を散策していると、草原近くの林内にエゾシカが沢山います。

風の吹きすさぶ断崖部(海岸付近)は、ほぼ常に雪が飛ばされるような状態なので、

そうした積雪の少ない場所は、彼らが下草を掘りだしやすい餌場となりますし、

また、周囲の森のトドマツ等の下は同様に雪が少なくて寝床としても良いです。


この集まるエゾシカの中に、ふと足の曲がった個体がいる事に気がつきました。

自然の中でなのか、道路でなのか、何らかの事故により骨も折れたのでしょう。

それでも逞(たくま)しく季節を生きのびた一歩、力強い踏みこみが印象的でした。

ただ、おそらく同じシカが昨年の冬や、その後の時期にも何度か見かけており、

そう考えると...この歪(いびつ)な足で少なくとも昨年の冬は越えているはずで、

仲間と全く遜色なく体格も良く過ごしていることに素晴らしさすら感じます。


ハンディキャップの中には純粋に他に何もなくハンディキャップでしかいない

とくに野生の中では際立って無情なくらいに、そのような在り様がありますが、

それでも”生きていく”、それは意志ですらない、今を繋げていく命でしかなく、

深いことなど考えるべくもなく、ただ受け入れている様子が美しく思いました。




***** 自然ガイド 知床ころぽっくる *****

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つよし