うちの裏庭は風の谷

どこまでも深くて濃い白い霧がたちこめるような、最近の人の世、世情。

先の見えない不安や焦燥、惑い迷い、批判して共感して、争っては悲しい。

以前のような優しさに触れることもできない苦悩、見聞きする事象には苦痛、

少しでも心が擦り減らないように、まして擦り切れないように慎重に過ごす。

そんな時には僕も誰か教えてほしい、花や木や小鳥に言葉があるのならば。


部屋の窓から覗く残雪の裏山、裏庭のような林にフキの葉が伸びてきて、

毎朝のようにベランダにはスズメやハシブトガラやヒガラがやって来る、

目をとじて振り向けば眩い草原、雲間から光が射せば体ごと宙に浮かぶの、

こんな妄想をしながら、すっかり凝り固まった背中の筋を伸ばしてみる。


そして、いつか白い霧が晴れたら、大地けって











(その時)画面の前のあなたは何がしたいでしょう?

どうぞ今は頑張らないで頑張りましょう、

きっと大丈夫。苦しみをかかえたあなたならば。



知床ころぽっくる

自然ガイド 伊東毅