薄曇りの空に時おり太陽や青空が顔をのぞかせる、穏やかな一日でした。
9月になるとリピーターのお客様をご案内するツアーが増えてきて、
その方の体力に合わせて多少はいつもと違う場所にも散策したいと思うので、
最近の休みは自身の自然観察に、そうした下見も兼ねて歩くこともあります。
ただ、倒木や茂みに歩きづらかったり、散策時の植生への配慮も必要だったり、
今日の森も同様ですが...何より、、かなりの体力が必要になる場合が多いので、
そういった部分でも何度かご案内したお客様から限定することになるでしょう。
※次々と新しい場所の散策を求めるでなく、その季節の自然を感じることが前提です。
※自然や野生動物に対する思慮や敬意を感じられない方はお断りすることもあります。
※興味本位で立ち入る方がでたり、多くの人間によって踏み荒らさないよう配慮します。
急な斜面を上っては、一面のツタウルシを越えて、ヒグマの存在を感じながら、
辿り着いた沼は束の間の青空の下、青白く輝いていました。(本来は薄い灰色。)
前回に訪れた今年の6月はミネザクラが咲いていたことも思いだします。
こんこんと湧きだす水は驚くくらい冷たく、浸けると指先が痛いくらいの水温。
これだけの水量がどこから来るものか不思議なくらい、ほぼ季節の増減もない。
沼の底に堆積する白い泥は臭いこともありますが、湧水はとても澄んでいます。
知床に来て12年、毎年ここには一年に3回ほどは個人的に訪れていますが、
この湿原も年々と乾燥化しているように感じます。見渡す植物も草原のよう。
おそらく一時期よりはエゾシカの生息数が減っており、足跡も今回は少なめ、
一昨年までは足跡だらけで、彼らが湿原を踏み荒らすことも影響したでしょう。
立ち枯れしたのはいつのことでしょう。水に浸かりながら秋を待つ。
ちょうど晴れてくれたので水面に映る空が綺麗でしたよ。
湧きだす水で湿原になった縁にトリカブトの仲間が咲いていました。
エゾトリカブトなのかと思ったのですが、葉の形状が少し違うようにも、
主に海岸部にはシコタントリカブトという種類が知床にはあるそうなのですが、
そちらは調べてみてもほとんど詳細がわからない為、申し訳ございません。
湿原に可憐に咲くウメバチソウはモウセンゴケに囲まれながら。
こうした湿原の植生はとても弱いので、年々と状況が変わっていく中、
極端に言えば森にさえ立ち入らないことも一つの方法かもしれないですが、
長く観察しながら見守ってきた僕らにとっては、大切にしたいのは本心です。
***** 自然ガイド 知床ころぽっくる *****
僕らのようなガイドがこれからの時代に何を求め、求められ、何を目指すのか、
あくまで人間目線の観光業でしかないのなら、それは自然ガイドと呼べるのか、
お客様の要望に応えようと特定の野生動物を探し夜は大勢でライトで照らして、
人気スポットの案内に集客が出来るようすることを優先せざるをえない状態や、
時期によってはあまりに忙しすぎて、自身での自然観察ができない若いガイド、
本当に知床の自然が好きなのだろうか、もしも好きでないのに解説ができるのか、
様々な葛藤も抱きながら、先輩方のお蔭でカタチにして頂いた一つの職業として、
きっと次の世代として今一度、確認して、考える段階なのだと思います。
つよし
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