苔と湧水の聖域に。

今日は友人たちと知床を深く知る為の森歩きに、また行ってきました。

初夏にも僕一人で一度は挑戦したのですが、その時は生い茂る草本に阻まれ、

目的地の巨石に苔むす原生林には辿り着けず...ちょっと悔しい思いをしました。

この季節になるとその茂みも開けていて、どうにか到着することができました。

知床の山から流れだした溶岩流の末端に位置する独特で荘厳な景観に佇みます。

幾つもの川を越えていくのですが、ちょうど黄葉や紅葉が綺麗でした。

また、この時期のお蔭なのか川の水位が低くて渡りやすくて助かりました。

奥地では斜面のいたるところから湧き水が染みだして小さな川ができており、

それらが合流をすることによっては最後は大きな川に流れこんでいきます。

きっと、地下には雪融け水、雨水、霧などが染みこんでいって、最後は海へ。

知床の山や森の豊潤な成分を含んで、それが海の豊かさも繋がるのでしょう。

その聖域に踏み入る為には自分自身が試されます。登る苔むした巨石には、

一見すれば地面に感じられる下に深い隙間があって、まるで落とし穴のよう。

さらに急すぎるくらいの斜面を登り続ける必要があるので、緊張と疲労が。

この付近(斜面)にエゾシカの足跡も全くないのは、彼らの細く小さな足では

歩くことができないからでしょう。小動物以外は姿も痕跡もほぼありません。

時にオジロワシが飛んでいき、シマフクロウが近くの木にとまる様相は

まさしく聖域とも感じられます。その険しさと儚そうな自然環境も含めて。

人間を阻むような厳しい自然と、きっと何度も訪れたら壊しかねない、

そんな力強くも儚く愛おしいこの空間は、まさしくサンクチュアリ(聖域)です。

守るべき世界そのもの、伝えるべき世界観、どこまでも澄みきって美しい、

ネイティブの彼らがかつて感じていた神聖な何かに僕も心で触れた気がします。




***** 自然ガイド 知床ころぽっくる *****

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つよし