然れど

今日(11月11日)は雨と風、これから帰省するので昨日の写真です。

知床五湖での研修中の森に、苔むした切り株にトドマツの幼樹がありました。

現在では国立公園内の利用調整地区(日本では二か所のみ)に指定されており、

世界自然遺産でもある知床の代表的な場所にもなっている知床五湖ですが、

この森の周辺地域でも大正から昭和の開拓期には人々の暮らしがありました。

園地内にも、すっかり苔の生えた切り株があったり割れた瓶や壺を見つけて、

見渡してみると今では笹に覆われていますが古い道らしき痕跡もありました。

昨日は研修という理由があって限定的な許可の上で立ち入っているので、

普段は関係者すら訪れることはなく、ただただ原生林に呑まれていく様子です。

集落跡というわけでもなく、どういった理由で壺などがあるのか不明ですが、

人々が去っていっても、されど時間は流れて、人知れず森として育まれていく、

きっと保護地域であろうがなかろうが否応なしに、そんな一場面が印象的です。


写真の幼樹が枯れることなく数十年後に1本の立派なトドマツになるのか

次に訪れる人もいないかもしれず、それは誰にもわからないことでしょう。

ただ、そんな人間の感傷など超えて育まれていく自然の在り方が好きです。

人々は去ることになるかもしれない、されど、

このトドマツは枯れるかもしれない、されど、

きっと、その先には力強く希望に満ちた何かがあるのだと信じたいですね。


もうすぐ本格的な冬になり、この幼樹も雪に埋まります。




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つよし