遡上して繋げる融ける。

12月も中旬になって、知床の川を遡上しているサケの数も

時期的に少なくっており、見る姿もかなり疎らになってきました。

凍てつく川の中を泳いでいる姿よりも、息絶えている姿の方が多く、

覗きこめば”ちから”なく水流に揺れているサケの目には光はなくて、

無事に産卵を終えることが出来たのかどうかは推測するしかないです。


また、こうした河口の付近で周囲を見渡せば、

集結しているワシやカモメ、カラスたちの多さに驚くことでしょう。

彼らにとっても、こうした狩りをするまでもなく得ることが出来る

サケの死骸はこれからを生きるのに貴重な食料になっているのです。

雪融けの季節にも、雪の下や川の縁から意図せず見つけた死骸は

長い冬を越えてきた野鳥や野生動物にも、疲れた身体を癒すような

ごくごく束の間の贅沢を与えてくれるのだと想像します。

この命は、あの命は、

川に融けて、海に融けて、鳥に融けて、動物に融けて、森に融けて、山にすら、

川と海を繋げ、海と魚を繋げ、魚と鳥を繋げ、動物と森を繋げて、山にだって、

短い命の最後の姿は、目を背けたいくらい無残に感じるかもしれないですが、

それは、サケとして最後であっても、繋がりの分岐においては、遥か先に、

森にトドマツの芽が生える最初の場面(きっかけ)であるのかもしれないです。


輪廻なんて言い方をすると、宗教じみて感じられ、嫌がる方もいるでしょうが、

(別にそういった方向に話しをして、説法をするつもりなど全く僕にはなくて、)

自然界では、個が個としてだけではなく、物質的な循環をして巡っていく中で、

その瞬間、その瞬間の姿(個)があるにすぎなく、ある意味で...どこか輪廻のように

目的などなくただ生態系の中で命のバトンを繋げ続けているように思うのです。


人間からすると時として、哀しく、儚く、あまりに無情な場面・体系ですが、

(うまく表現ができないですが、)美しいほどに完成されていると感じます。




***** 自然ガイド 知床ころぽっくる *****

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つよし